情報セキュリティ (2025 年度後期)
- 第 1 回: スタートアップ授業 / 情報セキュリティの概要・暗号技術の基本
- 第 2 回: 共通鍵暗号
- 第 3 回: 公開鍵暗号
- 第 4 回: 暗号技術の応用: ハイブリッド方式とデジタル署名
- 第 5 回: 暗号技術の応用: PKI (Public Key Infrastructure)
- 第 6 回: インターネットセキュリティ: SSL/TLS
- 第 7 回: インターネットセキュリティ: IPsec
1. URL
 
2. 担当者
中村 遼 E-mail: r-nakamura[atmark]fukuoka-u.ac.jp 居室: 14 号館 3 階 313 オフィスアワー: 月曜日 1 限
3. スケジュール (予定)
          1. スタートアップ授業 / 情報セキュリティの概要・暗号技術の基本
25/ 9/18  休講
25/ 9/25  2. 共通鍵暗号
25/10/ 2  3. 公開鍵暗号
25/10/ 9  4. 暗号技術の応用: ハイブリッド方式とデジタル署名
25/10/16  5. 暗号技術の応用: PKI (Public Key Infrastructure)
25/10/23  6. インターネットセキュリティ: SSL/TLS
25/10/30  7. インターネットセキュリティ: IPsec
25/11/ 6  休講
25/11/ 8  3 限 (予定) 8. 前半の総復習
25/11/13  9. サイバー攻撃の概要
25/11/20  10. サイバー攻撃の詳細 
25/11/27  11. サイバー攻撃への対策
25/12/ 4  12. なりすましメールへの対策: SPF および DKIM
25/12/11  休講
25/12/18 13. バッファオーバーフロー攻撃とその対策
補講日   14. DoS 攻撃と DDoS 攻撃
補講日   15. 後半の総復習 / 授業アンケート FURIKA の実施
注: 補講日の割当によって、スケジュールは前後します。確定のタイミングはシステムからの通知の時点です。
4. 到達目標
- [O1] 共通鍵暗号および公開鍵暗号の原理を理解し、説明できるようになる
- [O2] 公開鍵暗号に基づくデジタル署名、および、公開鍵の正当性を保証す るための PKI (Public Key Infrastructure) を理解できるようになる
- [O3] インターネットにおける情報セキュリティを実現する SSL/TLS および IPsec の基本的な仕組みを理解できるようになる
- [O4] DDoS 攻撃に代表されるサイバー攻撃およびその対策を理解できるよう になる
- [O5] バッファオーバーフロー攻撃の原理およびその対策を理解し、説明で きるようになる
5. 成績評価
平常点を 20%、定期試験の得点を 80% で重み付けした得点と、 定期試験の得点を 100% とした得点とのうち、 大きいものを最終的な成績とします。
6. 参考書
- 石井 夏生利・稲葉 宏幸・上原 哲太郎・越前 功・岡崎 美蘭・岡田 仁志・岡本 栄司・小松 尚久・白勢 政明・瀬戸 洋一・高倉 弘喜・土井 洋・村上 康二郎, "情報セキュリティの基礎", ISBN 9784320123021
- 八木毅・秋山満昭・村山純一, "コンピュータネットワークセキュリティ", ISBN 4339024953
7. 確認テスト
- 問題は、確認テストを実施する直前に公開されます。
- 持込はなしです。 ただし、確認テストの問題を閲覧するために、 PC・タブレット・スマートフォンを用いるのは構いません。 確認テストを解いている間はこれらの機器を他の用途には用いないでください。
- 答案用紙には手持ちのノート・ルーズリーフなどを用いてください。 所持していなければ、紙を配布します。
- 確認テストを終えた後には採点してください。 できれば、周りの人と答案を交換し相互に採点してください。
- 採点された答案を撮影し、 以下のフォームから提出してください。 提出の期限は、 確認テストを実施した当日の 11:59pm (JST) です。
Microsoft Forms (学内関係者限定) https://forms.office.com/r/ip3yT3cbje
- (余程のことがない限り、) 確認テストの解答例を公開すること、 若しくは確認テストを解説することはありません。
8. 第 1 回: スタートアップ授業 / 情報セキュリティの概要・暗号技術の基本
8.1. 資料
講義ビデオおよび講義資料 (学内関係者限定) https://fukuoka-u.box.com/s/buc7yjd25qf4h0y32eltyh8pt4n9zb1f
9. 第 2 回: 共通鍵暗号
9.1. 資料
講義資料 (受講者限定) https://www.ins.tl.fukuoka-u.ac.jp/~nakamura/lecture/infsec/2025/priv/02.pdf DATA ENCRYPTION STANDARD (DES) https://csrc.nist.gov/files/pubs/fips/46-3/final/docs/fips46-3.pdf DES Supplementary Material https://en.wikipedia.org/wiki/DES_supplementary_material
9.2. 確認演習
演習 1 および演習 2 は DES に関する問いである。
演習 1
以下に示す 64 ビットのビット列を初期転置することで得られるビット列の、 4 ビット目・24 ビット目・48 ビット目の値を、 2 進数でそれぞれ答えなさい。 転置規則は講義資料中に記載されている。
11000100 01101011 11001011 01111000 01100111 11011110 10101100 10010110
上記では、見やすさのために、8 ビットごとに改行を挿入している。
演習 2
6 ビットのビット列 110111 に S1 関数を適用することで得られるビット列を、 2 進数で答えなさい。 S1 関数で用いる表 S1 は講義資料中に記載されている。
演習 3
トリプル DES によって平文を暗号化する手順を説明しなさい。
9.3. 略解
演習 1
- 4 ビット目: 1
- 24 ビット目: 1
- 48 ビット目: 0
演習 2
1110
演習 3
(講義資料を参照すればよいので) 省略
10. 第 3 回: 公開鍵暗号
10.1. 資料
10.2. 確認演習
以下は RSA 暗号に関する問いである。 また、以下で用いる数学記号の定義は講義資料内の記載に準ずるものとする。
演習 1
(p, q) = (3, 7) とし、n = 21 とした時の、鍵対 e および d を求めなさい。 ただし、e != 1 および d != 1 であり、e != d である。
演習 2
演習 1 で得られた鍵対を用いて、 何らかのメッセージ M を暗号化し、暗号文を元のメッセージ M に復号できる、 という一連の流れを示しなさい。
10.3. 略解
演習 1
(e, d) = (17, 5)
演習 2
M = 3 とすると、鍵 e = 17 で暗号化すると、3^17 % 21 = 12 から、暗号文 C = 12 が得られる。この暗号文 C = 12 を鍵 d = 5 で復号すると、12^5 % 21 = 3 から、メッセージ 3 が得られる。このメッセージは元のメッセージで ある M = 3 と一致していることから、題意は示された。
11. 第 4 回: 暗号技術の応用: ハイブリッド方式とデジタル署名
11.1. 資料
11.2. 確認演習
演習 1
以下の文章が説明しているのは、 Alice から Bob へ暗号文を配送する一連の流れである。 ここでは、暗号化・復号には、 公開鍵暗号と共通鍵暗号とを併用した方式を用いている。
- Alice は、メッセージを、[ ア ] 暗号で、暗号化する
- Alice は、1. の暗号化で用いた鍵 (共通鍵) を [ イ ] 暗号で暗号化する。鍵には、[ ウ ] の [ エ ] を用いる。
- Alice は、1. と 2. で暗号化したもの一式を Bob に送る
- Bob は、[ オ ] を [ カ ] 暗号で復号する。鍵には、[ キ ] の [ ク ] を用いる。
- Bob は、4. で復号した鍵を用いた [ ケ ] 暗号で、暗号文を元のメッセージに復号する
この文章における空欄に当てはまる適切な語句を、 語群から選択し記入しなさい。
語群: 共通鍵、公開鍵、秘密鍵、Alice、Bob
演習 2
送信者から受信者に何かしらのメッセージを送るときに、 そのメッセージが配送の過程で改ざんされていない、 ということを、検証する手順を説明しなさい。 ただし、説明には「ダイジェスト」および「ハッシュ関数」という語句を用いること。
演習 3
Alice から Bob に何かしらのメッセージを (電子的に) 送ったときに、 メッセージを受け取った Bob が、 メッセージの送り主が真に Alice であるかどうかを、 検証する手順を、説明しなさい。
11.3. 略解
演習 1
- Alice は、メッセージを、[ 共通鍵 ] 暗号で、暗号化する
- Alice は、1. の暗号化で用いた鍵 (共通鍵) を [ 公開鍵 ] 暗号で暗号化する。鍵には、[ Bob ] の [ 公開鍵 ] を用いる。
- Alice は、1. と 2. で暗号化したもの一式を Bob に送る
- Bob は、[ 共通鍵 ] を [ 公開鍵 ] 暗号で復号する。鍵には、[ Bob ] の [ 秘密鍵 ] を用いる。
- Bob は、4. で復号した鍵を用いた [ 共通鍵 ] 暗号で、暗号文を元のメッセージに復号する
演習 2
(講義資料を参照すればよいので) 省略
演習 3
(講義資料の『デジタル署名』を参照すればよいので) 省略
12. 第 5 回: 暗号技術の応用: PKI (Public Key Infrastructure)
12.1. 資料
12.2. 確認演習
演習 1
以下の一連の文章は、 PKI にもとづく、Bob が Alice の公開鍵の真正性を検証 する仕組みを、説明している。この文章の空欄に当てはまる適切な語句を記入しなさい。 ただし、[ イ ] および [ エ ] には、Alice・Bob・電子認証局のいずれかの語句が 当てはまる。
- Alice は、[ ア ] の発行を、電子認証局に申請する。
- 電子認証局は、[ イ ] の [ ウ ] による署名を付与した [ ア ] を発行する。
- Bob は、Alice の公開鍵の真正性を、[ ア ] の署名を [ エ ] の [ オ ] で検証することで、確認する。
演習 2
上位認証局・下位認証局から成る階層型の認証局モデルを考える。 下位認証局は上位認証局に申請し、上位認証局から公開鍵証明書を発行されて いるものとする。このとき、以下の問いに答えなさい。
- 下位認証局が発行する公開鍵証明書に署名しているのは誰か?
- 上位認証局が発行する公開鍵証明書に署名しているのは誰か?
- 上位認証局自身の公開鍵証明書に署名しているのは誰か?
12.3. 略解
演習 1
- Alice は、[ 公開鍵証明書 ] の発行を、電子認証局に申請する。
- 電子認証局は、[ 電子認証局 ] の [ 秘密鍵 ] による署名を付与した [ 公開鍵証明書 ] を発行する。
- Bob は、Alice の公開鍵の真正性を、[ 公開鍵証明書 ] の署名を [ 電子認
証局 ] の [ 秘密鍵公開鍵 ] で検証することで、確認する。
演習 2
- 下位認証局
- 上位認証局
- 上位認証局
13. 第 6 回: SSL/TLS
13.1. 資料
13.2. 確認演習
演習 1
(あなたが) 日常的に訪問する Web サイトとの通信に用いられているプロトコルが、 HTTP と HTTPS のどちらであるか、 を確認しなさい。
演習 2
以下の文章は SSL/TLS を説明している。 この文章における空欄に当てはまる適切な語句を記述しなさい。
- SSL/TLS は、上位層である [ ア ] 層から渡されるデータを暗号化し、 下 位層である [ イ ] 層に渡す。
- SSL/TLS が有効である HTTP を [ ウ ] と呼ぶ。
- SSL/TLS におけるデータの単位は [ エ ] であり、その構造は、ヘッダ部と データ部と [ オ ] である。[ オ ] は、レコード内のデータが改ざんされ ていないことを検証するために用いる。
演習 3
以下の A. 〜 E. は、SSL/TLS ハンドシェイクの手続きを 順序性を失わせた上で記述している。 ハンドシェイクが成立するように、 A. 〜 E. を適切な順序に並び換えなさい。
- A. クライアントとサーバ間で、鍵の生成源となる pre_master_secret を共有する
- B. クライアントは公開鍵の真正さを検証する
- C. クライアントは、利用可能なアルゴリズム一式と乱数をサーバに送る
- D. サーバは、公開鍵を含めた公開鍵証明書をクライアントに送る
- E. サーバは、使用するアルゴリズムと乱数をクライアントに送る
13.3. 略解
演習 1
Web ブラウザで Web サイトに訪問し、 URL に、 「http」という文字列が含まれていればプロトコルは HTTP であり、 「https」という文字列が含まれていれば HTTPS である。
演習 2
- SSL/TLS は、上位層である [ アプリケーション ] 層から渡されるデータを暗号化し、 下 位層である [ トランスポート ] 層に渡す。
- SSL/TLS が有効である HTTP を [ HTTPS ] と呼ぶ。
- SSL/TLS におけるデータの単位は [ レコード ] であり、その構造は、ヘッ ダ部とデータ部と [ MAC ] である。[ MAC ] は、レコード内のデータが改 ざんされていないことを検証するために用いる。
演習 3
C → E → D → B → A
14. 第 7 回: インターネットセキュリティ: IPsec
14.1. 資料
14.2. 確認演習
演習 1
(IPsec を用いず) 単に IP プロトコルに基づいてパケットを配送することで生じる問題を、 情報セキュリティの観点で、 述べなさい。
演習 2
IPsec を構成するプロトコルである AH・ESP・IKE それぞれの役割を 一文で説明しなさい。
演習 3
Diffie-Hellman (DH) 鍵共有法に従って、 鍵 K を二者間 (Alice と Bob の間) で共有できることを示しなさい。 ただし、 DH 鍵共有法における変数の値は次の通りとする; p = 7, g = 3, a = 4, b = 5。
14.3. 略解
演習 1
(講義資料を参照すればよいので、) 省略
演習 2
- AH: パケットの完全性を検証する役割を担う
- ESP: 暗号化によるパケットの機密性と、MAC によるパケットの完全性とを担う
- IKE: インターネット上での通信機器間の鍵交換を担う
演習 3
- Alice は ya = 3^4 mod 7 = 4 を求め、4 を Bob に送る
- Bob は yb = 3^5 mod 7 = 5 を求め、5 を Alice に送る
- Alice は、鍵 K として、5^4 mod 7 = 2 を得る
- Bob は、鍵 K として、4^5 mod 7 = 2 を得る